恋する弁護士たち
登場人物のイメージ
飯島英慈(主人公 弁護士・市議会議員)
32歳くらいの時の玉木宏…風の人
相原萌(主人公 パラリーガル)
18歳くらいの時の有村架純…風の人
山内美恵子(法律事務所の所長)
60歳くらいの音無美紀子…風の人
山内健太郎(英慈の親友の弁護士)
32歳くらいの佐々木蔵之介…風の人
山田綾香(法律事務所の事務員)
伊藤沙莉…風の人
第3話 親友・健太郎
美恵子は、サンライズ法律事務所のデスクにいた。
美恵子「昨日の講演会、あんなに人が来るなんて驚いたわね。だって、単なる一市議の講演会だよ。
しかも、会場は小学校の体育館…。」
庶務の山田がお茶をもってきた。
山田「美恵子先生、お茶どうぞ。」
美恵子「ありがとう。山田さん」
健太郎「あ、俺にもお茶ちょうだい。山田さん」
山田「はぁい。すみません。」
山田「はい。健太郎先生。お茶どうぞ。」
健太郎「ありがとう。山田さん。」
山田「講演会、そんなに人が来てたんですか。」
健太郎「そうだよ。俺、午前中に打ち合わせがあったから、講演会の途中に体育館に入ったんだけどさ。
もう客がいっぱいでさ。いやぁ~驚いたよ!」
美恵子「そうなのよ!
後ろの法律相談コーナーのスペースの方まで、立ち見が出ちゃって。
ざっと、百ニ、三十人くらいはいたのかなぁ?
そんなことありえないわよ。普通。
だって、これからの市政…みたいな、堅い政治の話よ。
せいぜい、後援会絡みの人がくると思ってた。」
山田「きっと、この影響じゃないですか?亅
山田は、「Angee」 という女性ファッション雑誌を見せた。
山田「この雑誌にイケメン政治家特集で、インタビューされてるんですよ。飯島先生。しかも、今月号に。」
美恵子「えー。飯島くん、雑誌に載ってたのー?!
道理で女性のお客さんが多かったはずだわねぇ。
法律相談もついでに受けてくのよ。
健太郎と2人じゃこなしきれないから、急遽、一つブースを用意してさ。
飯島くんにも入ってもらったのよ。
おかげで、今月は法律相談の予約がいっぱいなのよ。
うふふ。ね。健太郎」
健太郎「事務所で、健太郎はやめてください!所長!」
美恵子「あ、そうだったわね。ごめんごめん!健太郎せ・ん・せ・い。」
美恵子はいじわるそうに言った。
美恵子の息子の健太郎も弁護士として同じ事務所で働いているのだ。
山田「飯島先生って、独身なんですか?」
健太郎「そうだよ。あれ、山田さん、婚活中〜?
ちなみに、俺も独身だよ!」
山田「健太郎先生!それセクハラですよ!
あんな素敵な人が独身なんて、理想が高いのかな〜って、思って。」
萌は雑誌をパラパラめくった。
萌「うわぁ、俳優さんみたいに写ってます!イケメンですねぇ!」
健太郎「飯島は大学の同期なんだけど、大学でもモテてたよ。目立つからさ。
でも、あいつ勉強一筋でさ。絶対に最短で司法試験に受かってやるって…さ。
取り憑かれたように勉強してたんだ。すげー必死に。」
山田「健太郎先生と飯島先生って大学の同期なんですか?
…ってことは、一橋大の…。」
健太郎「当たり!」
萌「えっ?健太郎先生って一橋なんですか?すごい!」
美恵子「そうよ。せっかく一橋に入ったのにねぇ。健太郎は遊んじゃってねぇ…。
飯島くんは、在学中に司法試験に合格したのに。
この子は将来のこと、何にも考えずに一般企業に就職したの。
案の定、すぐに辞めちゃって。
あげく、ロースクールに入り直したのに、司法試験に2度目でやっと受かったのよ。」
健太郎「大学ってのは自分探しの場所なんだよ!それに、俺は大学生活を満喫したかったの!」
萌「まあまあ、いいじゃないですか。2回目だって!
とにかく、健太郎先生がいらっしゃるから、今、事務所が立派に回ってるんですから。
ねっ!健太郎先生」
健太郎「おっ、萌ちゃん、いいこと言うねぇ〜。」
健太郎はお調子者で少し軽くて、明るかった。
事務所の雰囲気がいいのも健太郎のおかげだ。
だから、萌にとっては、すごく働きやすかった。
萌は、この事務所で働くことができて、本当によかったと思っていた。
事務所のドアが開いた。
来客だ。
「おはようございます。」
英慈が事務所にやってきた。
美恵子「あら、飯島くん。おはよう。」
英慈「突然、すみません。この間のお礼にと思って。これ食べてください。」
英慈は、菓子折りの入った紙袋を手渡した。
美恵子「あら〜、悪いわね。気を使わせちゃって。別にいいのに。
でも、噂をすれば影ね!
今ね、ちょうど飯島くんの話をしてたのよ。」
英慈「何話してたんですか。気になるな。」
美恵子「昨日の講演会、大成功したじゃない。
飯島くん、オシャレな雑誌に載ってたから、女性のお客さんがたくさん来たのかなぁ~って!」
英慈「ああ、あれね。
俺が地方政治の実態を少しでも知ってもらおうと思って引き受けたら、なんか違う方向にいっちゃって…。
マズかったなって反省してるんです。
悪目立ちして恥ずかしいです。
逆に、変に目立っちゃって恐縮してますよ。」
美恵子「謙虚ねぇ〜。」
山田がお茶を持ってきた。
英慈「ありがとう。」
英慈がニコっと笑った。
山田はドキっとして顔を赤らめた。
たいていの女の子は英慈の笑顔に殺られてしまうのだ。
英慈「あれ、新しい人?」
美恵子「ええ。経理兼庶務の山田さん。
萌ちゃんと一緒の時期に入ったの。
先月、事務の子が辞めちゃったから、今年は新卒を二人入れたの。
二人とも社会人1年生よ。フレッシュでしょ。」
山田「はじめまして。山田綾香です。よろしくお願いします。」
英慈「ああ。よろしく。」
山田は、またポッとした。
美恵子「萌ちゃん、飯島先生は市民からの法律相談をうちに回してくれるのよ。
だから、なんか無料で営業してくれてる感じ。いつもお世話になってるの。
それに、飯島先生ご自身も法律事務所を開業してて、議員活動と弁護士の仕事を兼務してるの。
だから、忙しい人なのよね。」
英慈「お世話になってるなんて言わないでください。
議員活動していると、陳情のついでに相続とか離婚問題とかいろいろ相談されるんです。
最初から法律事務所に行くよりハードルが低いみたいで、相談される機会が増えちゃって。
僕は二足のワラジを履いてるので、自分でこなしきれない相談は、こちらの事務所を紹介してるだけですよ。
美恵子先生に依頼すれば間違いないですから。
それに、僕の方こそ恩返ししなくちゃって思ってるんですよ。」
山田はもうすっかり英慈のファンになっていた。
英慈「それじゃあ、失礼しようかな。ちょっとお礼がしたかっただけから。」
美恵子「えっ、もうちょっと、ゆっくりしてけば。」
美恵子も英慈の一ファンのようだった。
美恵子がいくら人格があり、面倒見が良くても、それ以上に英慈を気に入っていることは確かだ。
英慈「これから定例会に向けて役所に行かなくちゃならないんです。」
美恵子「あら、そう。なら、しかたないわね。また今度ね。」
英慈「はい。失礼します。」
英慈は、事務所のドアを閉めて出ていった。
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