恋する弁護士たち
恋愛経験が少ない男女専門の結婚相談所・お見合い・婚活サービスは【ピュア婚】
登場人物のイメージ
飯島英慈(主人公 弁護士・市議会議員)
32歳くらいの時の玉木宏…風の人
相原萌(主人公 パラリーガル)
18歳くらいの時の有村架純…風の人
山内美恵子(法律事務所の所長)
60歳くらいの音無美紀子…風の人
山内健太郎(英慈の親友の弁護士)
32歳くらいの佐々木蔵之介…風の人
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第8話 月夜の告白
二人はレストランを出た。
萌は、はじめて自分が受けたスペシャルな扱いに感動していた。
食事はとても楽しかった。
でも、これでおしまいにする…と。
その意志は変わらなかった。
二人は、駅に向かっていた。
英慈「公園を抜けたら、ショートカットになる。
散歩しながら帰ろう。」
英慈はロマンチックなムードにもっていきたかった。
英慈は胸がいっぱいになっていた。
英慈は、夜空に大声で叫びたい心境だった。
英慈(君に一目惚れしたから、会いたかったんだ!
だから、食事に誘ったんだ。
たくさん話して、君のことを知りたかったんだ。
話をしてますます君のこと好きになったよ。
食事のとき、エロいことばかり考えていたんだ。
今日は本当に楽しかったんだ!!
俺とつきあってほしい!)
夜空に向かって、こう叫びたかった!
一方、萌はけじめをつけたかった。
萌は、あらためて立ち止まった。
萌「飯島先生。
今日は、お食事ありがとうございました。
とても楽しかったです。
お会計まで、結局は払ってもらっちゃって、すみませんでした。
今日は、本当にありがとうございました。」
萌は、まるで部下が上司を敬うように深々と長いおじぎをした。
呼び方も「先生」に戻っていた。
英慈(先生って…。
あんなに打ち解けて、笑いあったのに…。
なんで、急にかしこまるんだよ!)
英慈はよそよそしく振る舞う萌が、嫌だった。
もっと打ち解けてほしかった。
英慈「……。そんなにかしこまらなくていいよ。
それに、俺は、司法試験の受験生にがんばってほしかっただけだよ。
がんばってる人を応援するのも俺の仕事だからね。」
英慈はウソをついた。
英慈(ただ君に会いたかっただけだよ。)
萌「そうですか…。
ありがとうございます。」
萌は礼節を崩さなかった。
萌には英慈に言いたいことがあった。
ずっと心に引っかかっていたことが。
萌「あの、飯島先生…。」
英慈「なに…?」
英慈は優しい目で微笑んだ。
萌は思いきって切り出した。
ためらいながら言葉を選んだ。
萌「私…。私、ずっと言いたかったことがあって…。あの…、その…。」
英慈「……。どうしたの?」
萌「あの…、私達、体育館で、私達、あの…、えーと、あの!
…キ、キスしちゃったじゃないですかっ…!
あのことで、飯島先生が私に気を遣ってくださっているのなら、私は大丈夫ですから。
あれは、完全に不可抗力的な事故ですし、仕方のないシチュエーションでした。
私はまったく気にしてませんから。
あれは単なる事故なので、飯島先生も忘れてください。
だから………。
あの出来事はなかったことにしましょう…。先生…。」
英慈は思いがけず、突き放されたのでショックを受けた。
そんなことを言われるなんて、微塵も思ってもみなかった。
英慈は悲しそうな顔をした。
英慈「………。
なんで……なんでそんなこと言うの。」
萌「あ、あの出来事が原因で、飯島先生のお仕事に、あの……影響が……、
あく…、悪影響がでたら、嫌だなと思って。
私のせいかなと思って。
だったら、リセットしたほうがいいのかなって、思ったんです。」
英慈「………。」
英慈はしばらく沈黙した。
萌はその沈黙が怖かった。
英慈「リセットか……。
悪影響、リセット……ね。」
また、英慈は沈黙した。
優しかった英慈の雰囲気がガラリと変わった。
萌は怖かった。
萌は本当に怖かった。
萌(なんか…怒ってる?
とんでもないことを言っちゃったのかな。私…。)
萌には、わからなかった。
なぜ英慈が黙りこくってしまったのか…を。
萌の言葉は、英慈を傷つけた。
英慈は告白しようと思っていたのに、出鼻をくじかれた。
英慈「萌ちゃん…。
あの出来事で、俺の仕事に悪影響が出るってことはないよ。」
萌「………。」
二人は沈黙した。
英慈は、告白するなら、ちゃんといいムードを作ってからしたかったが、こうなったら、言わずにはいられなかった。
英慈「俺は……。
俺は、むしろあのキスから始まったと思ってる…!」
萌「えっ…?!」
英慈「…俺は、はじめて萌ちゃんに会ったときから、君に興味を持ったんだ。
だから、話してみたかったんだ!
食事もすごく楽しかったよ。
こんなに楽しい食事は久しぶりだったよ。
食事をして、思った通り、君は素敵な女の子だって充分にわかったんだ。
俺は、萌ちゃんと出会えてよかったって本当に思ってるよ。
俺、あの時から、あの時のキスから…萌ちゃんのことが頭から離れないんだ。
よかったら、俺と…、俺と、つきあってくれな……」
萌「飯島先生!!」
萌は、大きな声で英慈の言葉をさえぎった。
英慈の言葉を最後まで聞きたくなかった。
萌は思いがけない展開に死ぬほど動揺した。
まさか、告白されるなんて…と。
しかし、萌は冷静に切り返した。
萌「あの……!
それは、吊り橋効果なんじゃないでしょうか?」
英慈「ええぇっ…?!」
英慈は突然の、「吊り橋効果」…という言葉に、面食らった。
英慈「ちがうよ!何言ってるんだよ!
吊り橋効果なんかじゃないよ!!」
英慈はムキになった。
萌は冷静に努めた。
萌「飯島先生は、体育館で私を抱きとめて衝撃を受けてしまった。
その時倒れて、私達は唇を重ねてしまった。
不可抗力的に。
だから、飯島先生の今のお気持ちは、衝撃による吊り橋効果だと思います。」
萌「だから、あの出来事はリセットしたほうがいいと思います。
それが、飯島先生のためだと思います。」
萌はキッパリと言い放った。
萌は冷静だった。
一方、英慈はショックを受けていた。
英慈は諦めたくなかった。
静かに口を開いた。
英慈「……。吊り橋効果。
悪影響。
リセット。
ひどいな…。」
萌は、英慈を傷つけていたことはわかっていたが、そういう状況をすべて黙殺した。
英慈は宙を見つめた。
英慈「ハァー……!」
英慈は空に向かって、深いため息を吐いた。
英慈「………。
リセット…。
リセットなんて言うなよ!
萌ちゃん!」
英慈は感情に訴えた。
萌「……。」
英慈「萌ちゃんは、リセットしたいと思ってるの?」
萌(リセット……したくないけど、しなくちゃ。
おばあちゃんが言ってたこと、本当だ。
飯島英慈は危険すぎる。
…危険な予感がする。)
萌は自分の心に鍵をかけた。
萌「飯島先生は、市政に情熱をかけておられれるお方です。」
萌は、少し沈黙してから言った。
萌「……。だから…。
私なんかに、寄り道をしちゃダメですよ。先生…。」
英慈「………。寄り道…。
寄り道ってなんだよ!
寄り道なんかじゃないよ!
…萌ちゃん!」
萌「…………。」
萌は地面を見つめていた。
英慈の顔を見れなかった。
英慈の顔をまともに見てしまったら、きっと恋の魔術にかかってしまうにちがいないと…本能でわかっていたから。
英慈は自分のルックスにかけてみようと思った。
たいていの女の子は、自分のルックスに魅了される…ということがわかっていたから。
どんな手段を使ってでもいいから、萌の心を手に入れたかった。
今までの経験のすべてをかけて!
英慈「萌ちゃん。俺を見て。」
萌は顔を上げた。
萌は英慈の瞳を見てしまった。
萌(なんて綺麗な顔立ちなんだろう。
まるで王子様みたい。
素敵すぎる…。
ずっと見てると、気絶してしまいそう…。
彫りが深くて、鼻筋が通っている。
アーモンドのような目が潤んでる…素敵だわ…。
日に焼けた肌が男らしい…。
ずっと見ていると、心がもってかれてしまう。
ボーと見惚れて、まるで催眠術にかかってしまう…。)
萌は下半身が熱くなっていくのを感じた。
萌(私、本当は飯島さんに惹かれてる…。
怖いくらい…とても!)
萌の大事な部分がジュワっと濡れてきた。
体は正直だ。
ジワジワと濡れてきた。
萌は、パンツが湿ってきたことがわかった。
萌(え、何?…この感じ。
濡れてるの?…私…。)
萌の体は、猛烈に英慈に抱かれたいと叫んでいた。
英慈は、そっと萌の頬に両手を添えた。
英慈の手は温かかった。
二人は見つめ合った。
萌は頬を触れられて、全身に血がかけ巡った。
そして、英慈は渾身の思いを込めて言った。
英慈「萌……。」
英慈は、自分でも気づかないうちに、萌を呼び捨てで呼んでいた。
英慈「萌……。
萌は、本当にあのときのキス…忘れたいの?
本当にリセットしたいの?
俺は…!萌のことが好……」
萌「飯島先生!!」
萌は再び大きな声を出して、英慈の次の言葉をさえぎった。
萌は、英慈の手を優しくほどいた。
萌「その先は言ってはいけません…。
先生…。」
英慈は、萌の言葉を無視して続けた。
英慈「好きなんだ!
好きになったんだ!君を!!
リセットなんてできるわけない!!
あの時から君のことが頭から離れないんだよ!!」
萌「……!」
英慈「あの時のキスは、ただの事故なんかじゃない。
俺にとっては、始まりなんだよ!!」
萌は動揺した。
必死に英慈に惹かれないようにこらえた。
自分の気持ちを押し殺した。
英慈「……萌はあの時のキス…本当に忘れたいの?
本当にリセットしたいの?
萌…本当のことを言って…。正直に。」
萌「………。」
英慈「答えて。萌……。」
萌は意を決した。
冷静に、いや、冷酷に…答えた。
萌「…はい。リセットしたいです。」
萌(リセットしたくありません。)
萌は心にウソをついた。
英慈は魅力的すぎる。
自分には無理だ。
たぶん、今、英慈を受け入れてしまったら、何もかも失ってしまう…と思った。
2年半もの間…自分のもてる時間のすべてを司法試験の勉強に捧げてきた。
今が大事な正念場だ。
萌は、今まで必死で積み上げてきたものを簡単にぶち壊すわけにはいかなかった。
萌「ごめんなさい。飯島先生…。」
英慈(うそだろ…。振られた?!俺が?!)
萌「あなたには、もっとふさわしい方がいらっしゃいます。
私なんかではなく…。」
英慈「えっ…。」
萌「飯島先生、これから事務所にいらっしゃったら、私を普通に、いちパラリーガルとして、接してください。
私が未熟なときは、遠慮なく指摘して私を鍛えてください。
私は何もわからない新米のパラリーガルですから。」
英慈は、ショックで気の利いた言葉が出てこない。
英慈「……。ああ、そうだな。
そうしよう…。」
萌「それでは、失礼します。
…先生。気をつけて。」
萌は軽く会釈をした。
英慈「ああ。萌ちゃんも気をつけて…。」
萌は、美しい月夜の公園をパタパタと走り去っていった。
最後まで読んでいただきありがとうございました!!
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