元英語教師なっぴの思春期の子育て☆

元英語教師・今主婦・母のなっぴが生活をワクワクさせるような情報や英語や子育ての話を提供していきたいと思います!

ブログ小説「恋する弁護士たち~泣きたいくらい君が好き~第16話『萌のアパート』」

恋する弁護士たち

d払いポイントGETモール

恋愛経験が少ない男女専門の結婚相談所・お見合い・婚活サービスは【ピュア婚】

登場人物のイメージ

飯島英慈(主人公 弁護士・市議会議員)

32歳くらいの時の玉木宏…風の人

 

相原萌(主人公 パラリーガル) 

18歳くらいの時の有村架純…風の人

 

【退職代行ガーディアン】

「他所では困難な悪質ヤミ金にも対応!!」

第16話 萌のアパート

 

萌「あっ、飯島さん…。亅

 

萌は、うつろな目で英慈を見た。

 

英慈「おいっ! 大丈夫かよ?!」

 

萌は苦しそうに言った。

 

萌「…すいません。ちょっと体調を崩しちゃって…。

…吐いちゃったから、汚いですよ。

私に近寄らないでください。」

 

英慈「何言ってんだよ! 

家に送るよ。車だから。

乗れよ。早く!!」

 

萌「いいえ。大丈夫です。もう。

今、吐いたから、ちょっと楽になりました。

それに、飯島さんの車汚れちゃうから。

本当に大丈夫ですから、飯島さん、行ってください。本当に。

私のことは、放っといてください…。」

 

萌は自分のことは自分でなんとかしたかった。

 

他人に迷惑はかけたくなかった。

 

しかし、全身がムカムカして、熱っぽくて気持ちが悪いので、他人に気を遣うことができない状態だった。

 

萌の顔は真っ青で、吐いたもので口元が汚れていた。

 

萌は、ブザマな姿を見られたくなかったので、放っておいてほしかった。

 

それに、もう気力がないので、誰とも話したくなかった。

 

英慈「放っておけるわけないだろっ!」

 

英慈は萌の手をグイッとひっぱり、無理やり車の助手席に乗せた。

 

萌は英慈に迷惑をかけるのが嫌だったから、車には乗りたくなかった。

 

しかし、もはや抵抗する力がなかった。

 

車に乗ると、密閉した空気でさらに気持ちが悪くなり、萌は助手席のドアをとっさに開けた。

 

ドアが空いたと同時に、ドアの下の地面にバッと吐いた。

 

ドアの縁に吐しゃ物が付いてしまった。

 

萌「ごめんなさい…。車、ちょっと汚しちゃったみたい…。」

 

萌は弱々しく言った。

 

英慈「大丈夫かよ!おいっ!」

 

英慈は、車が汚れたことなんかどうでもよかった。

 

それよりも、英慈はどうしたらいいかわからずに気が動転していた。

 

英慈は、とっさに、さっき缶コーヒーを買ったときにもらったレジ袋を萌に渡した。

 

英慈「ほら、この中に吐いて。」

 

萌「ゲホッ、ゲホッ…ゲホゲホ…ッ!」

 

萌はレジ袋の中に吐いた。

 

わりと吐くことができたので、少し落ち着いて、楽になってきた。

 

力を振り絞って、吐しゃ物が入ったレジ袋をしばって車の中のフックにひっかけた。

 

英慈「家まで送るよ。家はどこ?」

 

萌「…………」

 

萌は朦朧としていて英慈の言葉が聞こえてこない。

 

車の座席に体をあずけて椅子に身を沈め、目をつぶった。

 

そのうち、意識が遠のいてしまった。

 

手を萌の額に当てると、熱があった。

 

英慈「熱い…。まいったな…。」

 

英慈は、萌のバッグから住所がわかるものを探そうと、財布を取り出した。

 

英慈「悪く思うなよ。勝手に見て。」

 

萌の財布から免許証を見つけ、住所を見つけた。

 

東京都〇〇市西春日町2−31−5 クローバーハイツ205

 

英慈(西春日町か…。俺のマンションとそう遠くないな。)

 

英慈はカーナビに萌の住所を入れた。

 

そして、英慈は萌のシートベルトを締めた。

 

英慈は車を走らせ、萌の住むアパートに向かった。

 

午後6時30分過ぎ。

 

英慈は、車を近くのコインパーキングに置き、萌をおぶって萌のアパートまで歩いた。

 

英慈 (たしか…ここらへんだと思ったんだけどな。)

 

さっき見たスマホの地図の記憶をたどって歩いていた。

 

英慈(あの時と同じだ。まさか、こんなことが起きるなんてな。)

 

約20年前の…あの夏の日。

 

英慈が小学校6年生だったあの暑い夏の日。

 

英慈は道ばたで吐いた七海をおぶって家まで帰った光景を思い出した。

 

英慈(なんてこった…。こんな状況まで似ていやがる。)

 

(絶対に七海を助けなきゃ!

 早くお父さんに連絡しなきゃ!…って思って、必死に家まで七海を背負って帰ったっけ…。)

 

(あの時は、猛暑で汗だくだったな。

バケツの水を頭からひっかぶったみたいにびっしょりだったな。)

 

英慈は回想しながら歩いていた。

 

英慈(あった!クローバーハイツだ!)

 

外壁に「クローバーハイツ」と書いてあった。

 

それは、築40年の白いモルタル外壁のアパートだった。

 

単身者用のアパートで、築年数相応の外観で、モルタルの壁が薄汚れていた。

 

英慈(こんなところに住んでいたんだ。

まあ、そうだよな。実家が農家で、東京で一人暮らしの契約社員なら、こんなもんだよな。)

 

英慈は、アパートの階段を登り、萌の住んでいる部屋205号室の前まで来た。

 

英慈(鍵を出さないとな。)

 

英慈は萌をおぶったまま、あらかじめ萌の財布から抜き取った鍵を、ポケットから取り出した。

 

英慈は、萌の部屋の鍵を開けて、中に入った。

 

英慈は目を見張った。

 

唖然とした。

 

あまりにも部屋が荒れているのを見て、ビックリした。

 

英慈「なんだ、この部屋は…!!

ひどいな!!こりゃあ…!」

 

一歩部屋に踏み入れると、足元にゴミ袋が当たった。

 

玄関にパンパンにゴミが入ったゴミ袋が置いてあった。

 

萌の部屋は、入るとすぐに簡単なキッチンがある、トイレ・バス別の6畳一間のワンルームだ。

 

キッチンは、食べた後の食器がそのまま流しに山盛りになっていた。

 

洗濯機は洗濯されないまま、衣類でいっぱいになっていた。

 

寝室に入ると、洋服があちこちに脱ぎ散らかされていた。

 

洗い終わった洗濯物はたたまれずに山積みにされ、放置されていた。

 

ゴミ箱はカップラーメンのカップやレトルトの袋の山だった。

 

物が雑多に散乱していて、足の踏み場がなかった。

 

畳の部屋にはベッドが窓際に置かれており、その前には布団がかけてあるコタツテーブルがある。

 

4月後半なのに、まだコタツを片づけていなかった。

 

そして、テーブルの上には、所狭しと参考書、問題集が散乱していた。

 

赤ペン、蛍光ペン、鉛筆など、筆記用具も散乱しており、かなり書き込まれたノートや開きっ放しの六法全書が置かれていた。

 

消しゴムのカスがあちこちに見られ、眠気覚ましのガムを包んだゴミや栄養ドリンクの空瓶が数本散らばっていた。

 

もはや、テーブルには隙間が見えなかった。

 

床の上にも、本が積まれていた。

 

崩れ落ちている本の山もあった。

 

英慈はあの時の萌の言葉を思い出した。

 

はじめて食事に誘った時に萌に断られた…その時に、萌が言い放った言葉を。

 

『私、5月に司法試験があるから勉強してるんです。

だから、毎晩忙しくて…。

ちょっと食事は無理です…。』

 

英慈(あの言葉は本当だったんだな…。)

 

英慈は、萌が毎日家でこんなに戦っていたのか…と、思い知った。

 

英慈(…なのに、俺は!)

 

英慈は萌の都合もかえりみずに、自分の感情をぶつけて口説いていたことを、反省した。

 

萌をベッドに連れて行って、背中から下ろしてそっと寝かせた。

 

英慈は、萌の着ていた薄いピンクのブレザーを脱がせた。

 

萌をブラウスとスカートだけにした。

 

英慈(これならパジャマに着替えなくても、寝やすいだろう。)

 

萌に布団を首までかけてあげた。

 

萌は深い睡眠状態に入って、ピクリともしない。

 

英慈は、萌は勉強と仕事の両立に疲れ…そして、今は受験勉強の追い込みで倒れてしまったのだとわかった。

 

英慈(こんなになるまで…。かわいそうに…。)

 

英慈は、散らかった部屋から救急箱を探し出し、額に冷えピタを貼った。

 

英慈は、唇についた吐瀉物をぬれた布巾でそっとふいてあげた。

 

英慈はベッドの脇に座って、萌を見ていた。

 

そして、萌の頭をなでて、額から頬へ、頬から唇へ、唇にから顎へと…そっと触ってみた。

 

具合が悪いのはわかっていたが、英慈は衝動を抑えきれなかった。

 

英慈は立ち上がった。

 

英慈は顔を静かに萌に近づけた。

 

萌のおでこにそっとキスした。

 

頬にキスした。

 

そして、萌の唇に…

 

……キスした。

 

英慈(頼む。起きないでくれ。少しだけ。このまま…。)

 

英慈は目をつぶって、萌の唇にずっとキスしていた。

 

静かに優しく…唇を重ねた。

 

英慈の心は愛で満たされた。

 

ゆっくり…唇を離した。

 

そして、英慈は大切なものが壊れてしまわないようにやさしく、萌の頭をゆっくり…ゆっくりなでた。

 

英慈は、愛おしいという気持ちが最高潮に高まった。

 

萌を起こさないように、萌の手を優しくにぎった。

 

英慈(ああ。神様…。

神という存在があるのなら、この瞬間の、この気持ち…のことをいうのかもしれない。

胸が熱い。

愛しい気持ちが溢れ出てくる…。)

 

(萌、好きだ!好きなんだ!

ずっとこの人のそばにいたい。

守ってやりたいんだ、この人を!)

 

英慈は赤ちゃんのように眠っている萌の顔をずっと見ていた。

 

英慈の心は、まるで賛美歌を聞いているかのような尊くて安らかな気持ちになっていた。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました!!

ブログランキングに参加しています ♪ ♪

  ↓ ↓ ↓

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

ポチっとしてくれたら、うれしいです♡

読者登録お願いします♪ ♪

金運・恋愛運アップのことなら、願いを叶える通販サイト「星のしずく」