元英語教師なっぴの思春期の子育て☆

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ブログ小説「恋する弁護士たち~泣きたいくらい君が好き~第18話『あなたの兄より…』」

恋する弁護士たち

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登場人物のイメージ

飯島英慈(主人公 弁護士・市議会議員)

32歳くらいの時の玉木宏…風の人

 

相原萌(主人公 パラリーガル) 

18歳くらいの時の有村架純…風の人

 

【退職代行ガーディアン】

「他所では困難な悪質ヤミ金にも対応!!」

第18話 「あなたの兄より…」

 

萌「飯島さんっ?!」

 

英慈「おはよう。

体調はどう?よくなった?」

 

萌は言葉が出なかった。

 

口がポカンと開いてしまった。

 

いったい何が起きたのかわからなくて、パニック状態だった。

 

英慈は驚いている萌の気持ちを察した。

 

英慈「朝ごはんにしようか。

ちょうどできたとこなんだ。」

 

萌「はい…。」

 

英慈「テーブルの上のものをどかしておいてくれる?

ごはんを置くからさ。」

 

萌「うん。わかった。」

 

萌は、敬語を使うのを忘れていた。 

 

萌「英慈さん、今ちょっと来ないで。着替えてるから。」

 

英慈「わかったよ。」

 

英慈は、この同棲感いっぱいなやりとりにドキドキした。

 

それに、いつの間にか、英慈さん…と呼ばれていることに気づき、それが嬉しかった。

 

萌は、急いで着ているブラウスとスカート、ブラジャー、ストッキングを脱いだ。

 

倒れてから、そのまま着て寝ていたのだ。

 

部屋着の、クリーム色のTシャツ生地のロングワンピースに着替えた。

 

そして、髪をゴムでたばねてポニーテールにした。

 

英慈は、部屋着に着替えた萌を見て思った。

 

英慈(かわいいじゃん…!)

 

英慈は、スーツを着ている萌しか知らなかったから、いつもと違う雰囲気が新鮮だった。

 

英慈は、萌の雑炊のプレートと、自分用の朝ごはんのプレートを2つ、テーブルの上に置いた。

 

萌「うわぁ。卵雑炊だ。おいしそう!すりリンゴとバナナもある!

すごい…!萌のおばあちゃんが作ったみたい!」

 

英慈は、萌が無邪気に喜んでいるのを見てうれしかった。

 

英慈「じゃあ、食べようか。」

 

萌「うん。」

 

二人は同時に言った。

 

萌「いただきます。」

英慈「いただきます。」

 

二人は目を合わせて、お互い照れくさそうにクスッと笑った。

 

萌は、昨日何があったのか、なぜ英慈がここにいるのか…気になっていたが、あえてそこには触れなかった。

 

体がまだ少しダルかったので、いろいろ英慈に聞く気になれなかった。

 

今は何も知りたくない。

 

萌は雑炊を食べた。

 

萌「おいしい…。」

 

一口、二口と食べていくうちに、涙がポロポロこぼれてきた。

 

英慈は、萌が突然泣き出したので慌てた。

 

英慈「どうしたんだよ…。」

 

萌「なんか、雑炊がすごくおいしくて…。

心に沁みる…。

飯島さんの愛情が…。」

 

英慈「………。」

 

英慈「……いいから、黙って食べろ。」

 

萌「…うん。」

 

萌は、泣きながら、雑炊とすりリンゴとバナナをゆっくりと食べた。

 

病み上がりだから、いつものようにパクパク食べられない。

 

量は1人前でちょうどよかった。

 

萌は全部食べ終わった。

 

萌は「ごちそうさまでした。」

 

と言って…

 

下を向いた。

 

しばし、黙っていた。

 

そして、不意につぶやいた。

 

萌「……。

お兄ちゃん…。」

 

英慈は、持っていた牛乳のグラスをテーブルの上にガチャン…!と、置いた。

 

英慈は、瞳孔がバッと開いた。

 

英慈は、心臓が一瞬止まった。

 

自分の今のすべての動きがフリーズした。

 

そして、心臓の音だけがドクッドクッ…と響いていた。

 

英慈「えっ…。…………。」

 

萌は顔を上げて、英慈を潤んだ瞳で見つめた。

 

萌「お兄ちゃん…。」  

 

英慈の体中に電流が走った。

 

はじめて出会ったときみたいに電流が走った。

   

一瞬、部屋を流れる生活音がすべて無音になった。

 

真空状態のように。

 

英慈「どうして…。」

 

萌はゆっくり続けた。

 

萌「お兄ちゃん…。

…って、こんな感じなのかなって、きっと…。

もし、私に兄がいたら…。

黙って、部屋を片付けてくれて…。

看病してくれて…。

ごはん作ってくれて…。

元気出せって言ってくれて…。

なんか、うれしくて…、ありがたくて…。

…す、すみません…。

涙が…。」

 

萌は嗚咽していた。

 

萌「ウッ、ウッ、ウッ…ウウッ、ウ…ッ…ウッ…」

 

萌「もう、…もう何も…。

か、感謝で…。

何も言葉が出てこない…。」

 

萌は過酷な試験勉強で抑圧され、荒れた生活を毎日送ってきた。

 

何度も孤独と不安に押しつぶされそうになってきた。

 

そして、今……

 

緊張の糸がプツンと切れ、涙腺が崩壊した。

 

英慈の優しさが、一気に萌の体中になだれ込んだ。

 

体も心も弱っていたから、涙が止まらない。

 

英慈「お兄ちゃん…って…。

萌にそう呼ばれるなんて、思ってもみなかったよ…。」

 

英慈は、声が震えていた。

 

萌は、とめどなく流れる涙を手で拭いた。

 

少し落ち着いてから、ゆっくり静かに言った。

 

萌「…。そうですよね。

す、すみません…。

お兄ちゃんじゃないのに…。ウッ…ウッ、ウッ…

でも、飯島さん、いつも私のこと助けてくれるじゃないですか。ウッ、ウッウッウッ…

な、なんか、本当のお兄ちゃんみたいだなって思って…。」

 

萌はうつ向いていた。

 

しばらく泣いていた。

 

だんだん落ち着いてきた。

 

英慈は黙って萌を見つめていた。

 

萌も英慈を見つめて、口を開いた。 

 

萌「あの……、

飯島さん……。

………。

お兄ちゃんって呼んでもいいですか…?

今だけ…。」

 

英慈は、この展開に、自分の身に何が起きているのかよくわからなかった。

 

英慈は、消え入るような声で言った。

 

英慈「ああ…。いいよ。」

 

英慈は目をつぶった。

 

萌「…ありがとう。

……お兄ちゃん。」

 

英慈は、このセリフで完全に思考が停止してしまった。

 

ドキッ、ドキッ、ドキッ…!

 

英慈は、動悸が激しくなった。

 

声がすぐに出てこない。 

 

萌は流しに自分の食べたものを下げに行こうとした。 

 

英慈「萌…。」

 

やっと声を絞り出して言えた。

 

萌「…。なに…?」

 

英慈「いいよ。病人だから。

食器は俺が下げるから。」

 

萌「…じゃあ、お言葉に甘えて…お願いします。

私、寝ます…。

まだちょっと具合が悪いから。」

 

…と、言って萌は横になった。

 

「お兄ちゃん…」、というこの言葉に英慈は、茫然自失になってしまった。 

 

萌が自分をそう呼ぶなんて…。

 

英慈(いったい何が起こったんだ…。)

 

英慈(七海…。

おまえが乗り移ったのか…?

萌に。

こんなことがあるのか…?!)

 

毎日の甘い生活。花火大会。夏休み。部活。プール。映画デート。海辺のホテル。交換日記。

 

一気に思い出が英慈の頭の中を駆け巡った。

 

楽しかった七海との13年間の生活。

 

毎日愛しあった日々。 

 

英慈は七海との狂おしいセックスを思い出した。

 

体中の細胞が、七海の肌を思い出していた。

 

あの激しいセックスの快感を。

 

そして…

 

萌との出会った…。

 

英慈(これはただの恋なんかじゃない。

運命を感じる。とても…。)

 

気づくと、一筋の涙がこぼれていた。

 

悲しいのか、嬉しいのか、わからない。

 

自分でもなんで泣いているのか、わからなかった。

 

理解不能の涙だった。

 

たぶん、英慈の細胞一つ一つが叫んで出た涙だった。

 

萌に尽くさずにはいられない。

 

萌のためなら、何でもしてあげたい。

 

七海にしていたように。

 

英慈は、そう思っていた。

 

そして、英慈はこの人をどうしても手に入れたいと、強く思った。

 

夜になった。

 

午後7時、萌は目が覚めた。

 

あれからずっと眠っていた。

 

体調がかなり良くなった。

 

英慈は帰っていた。

 

テーブルに、晩ごはんと置き手紙があった。

 

ごはんは、梅干し雑炊、オクラとジャコのおかか和え、りんご、青汁…だった。

 

萌(すごい…。栄養たっぷりだ。

ベテラン主婦顔負けの見事なラインナップ…。)

 

萌は手紙を読んだ。

 

萌へ  

冷蔵庫にすぐに食べられるものを作っておいたから。

1週間くらいはもつと思う。

あ、萌の場合は、1日かな?(笑)

お米も炊いて冷凍してあるから、食べたいときにレンチンして食べろよ。

それから、これからはできる限りジャンクなものは食べるなよ! 

試験前にまた倒れたら、元も子もないからな。

体調管理も試験対策だから。

 

それから、今日だけは萌のお兄ちゃんだから、言っておきます。

もう俺に謝ったり、お礼を言ったりするなよ。

その必要はないから。

だって、俺は萌のお兄ちゃんだから。

 

追伸

司法試験、がんばれよ!

ベストを尽くして戦ってきてください。

俺は今後しばらく忙しいから、サンライズには行けないし、食事に誘ったり会ったりできないから。

陰ながら応援してるよ。

困ったことがあったら、遠慮なく連絡してください。

あなたの兄より

 

 

萌は、手紙を読んでまた涙がこぼれてきた。

 

ふと見ると、さっきまで干してあった洗濯物が畳まれていた。

 

脱ぎっばなしのブラウスやスカート、ストッキングも一緒に畳まれていた。

 

どうしてこの人は、こんなに私に優しくしてくれるのだろうか?

 

どうしてここまで親切にしてくれるのだろう?

 

たとえ、自分が本当に恋人だとしても、これは度を越した行為ではないか。

 

まるで母親が子どもにするような深い愛情のように感じた。

 

萌は、英慈の施してくれる家族のような優しさは、いったい何なんだろう…と不思議に思っていた。

 

萌は冷蔵庫に駆けつけて、中を覗いてみた。

 

空っぽだった冷蔵庫が、タッパーで埋め尽くされていた。

 

一つ一つタッパーを開けると、ひじきの煮物、ほうれん草と油揚げの煮浸し、かぼちゃの煮物、ゆでたブロッコリー、肉野菜炒め…等、10種類以上のおかずが入っていた。

 

冷凍庫を開けると、炊いたお米をラップして冷凍してあった。20食分はあった。

 

台所の床には、お茶のペットボトルが1ケースあった。

 

ほかにも、すぐに食べられるものがたくさん冷蔵庫に入っていた。

 

バナナやりんごなどの果物、納豆、たまご、牛乳、食パン、ヨーグルト、野菜ジュース、青汁…。

 

普通の人の胃袋なら、1週間はもつくらいの量だった。

 

萌は、胸がいっぱいになった。

 

目に涙を浮かべたが、泣かなかった。

 

萌(泣いてなんかいられない!)

 

いろいろ不思議な思いはあるが、萌は、ここまでしてくれた英慈の気持ちに答えようと思った。

 

悔いのないように勉強して合格することが、英慈への恩返しだ…と、強く心に言い聞かせた。

 

萌(絶対に司法試験に受かってやる!!)

 

萌は決意を新たにし、再び闘志を燃やした。

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございました!!

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