恋する弁護士たち
恋愛経験が少ない男女専門の結婚相談所・お見合い・婚活サービスは【ピュア婚】
登場人物のイメージ
飯島英慈(主人公 弁護士・市議会議員)
32歳くらいの時の玉木宏…風の人
相原萌(主人公 パラリーガル)
18歳くらいの時の有村架純…風の人
山内美恵子(法律事務所の所長)
60歳くらいの音無美紀子…風の人
山田綾香(法律事務所の事務員)
伊藤沙莉…風の人
第23話 緊急手術
司法試験4日前になった。
サンライズ法律事務所で、萌は相変わらず忙しい日々を過ごしていた。
試験直前といえども、自分の今の仕事に手を抜きたくなかったので、美恵子にも「今まで通りでお願いします。」と、伝えていた。
午前10時頃、事務所に1本の電話が入った。
たまたま美恵子が出た。
美恵子「はい。サンライズ法律事務所です。」
美恵子「えっ!は、はい。宇都宮中央総合病院?」
山田がピクッと、反応した。
美恵子「はい。在籍しておりますが…。
今、ちょっと、外出してまして…。どのようなご要件でしょうか。」
看護師「相原萌さんのお祖父様がくも膜下出血で倒れて、救急搬送されました。
付き添っていたお祖母様も倒れてしまったので、ご家族の萌さんに連絡しました。
萌さんに連絡がつき次第、ご連絡いただけますか。」
そこに、ちょうど萌が郵便局から帰ってきた。
萌「ただいま〜。」
美恵子「あ!今、相原が帰ってきました。代わります。」
美恵子「萌ちゃん、お祖父様が倒れたって!
宇都宮中央総合病院から電話がきてる。電話に出て!」
萌「えっ!!
もしもし、お電話代わりました。
相原です。
えっ…、本当ですか?!
えっ!!
くも膜下出血…!
はい…、…。はい…。
す、すぐにうかがいます。」
萌は顔面蒼白になっていた。
ガクガク震えていた。
美恵子「萌ちゃん、すぐに帰りなさい!
早く病院に行きなさい!
こっちのことは、何も気にしないでいいから。
状況がわかったら、電話するのよ。必ず!
わかった?」
萌「…………。」
萌は呆然として、立っていた。
美恵子の言葉が入ってこなかった。
ショックで何が起こったのか…わからず、頭が真っ白になっていた。
美恵子「萌ちゃん!しっかりしなさい!!
あなたがしっかりしないでどうするの!!」
萌はハッとした。
バタバタと急いで、帰る支度をした。
萌は声を押し殺して、泣くのを我慢していた。
萌「はい…。すみません。失礼します…。」
急いで事務所を出ていった。
このとき、健太郎は外出していなかった。
山田は、(たいへんなことになった…)と、青くなっていた。
萌は宇都宮駅からタクシーに乗って、宇都宮中央総合病院に向かった。
病院に着くと、受付の人に2階の外科病棟で手術していると、告げられた。
萌は急いで手術室に向かった。
手術室の扉の前に着くと、廊下にある長椅子に座った。
看護師がやってきた。
看護師「相原さんのご家族の方ですか?」
萌「はい。」
看護師「相原光子さんのことなんですけど。」
萌「え……」
看護師「光子さんは、手術待機中に倒れたんです。
先程検査をしましたが、特に異常はないようです。」
萌「祖母はなんで倒れたんですか。」
看護師「過労だと思います。
血圧が高かったのと、熱がありましたから。
ご主人が倒れたのがショックだったのかもしれません。」
萌「そうですか…。でも、たいしたことなくてよかった…。
あの、祖母はどこにいますか?」
看護師「205号室にいます。」
萌「ありがとうございます。」
萌は祖母光子のいる病室に急いだ。
光子は6人部屋にいた。
萌が祖母の光子の病室に行くと、点滴が施され、光子は眠っていた。
久しぶりに見た祖母……
萌(こんな状態で再会するなんて…。)
萌は光子の手を握ってみた。
光子の手は温かかった
萌(よかった…。おばあちゃん、
落ち着いてるみたい…。)
萌は光子が安定しているのを確認すると、また手術室前に戻った。
萌は携帯を取り出して、「くも膜下出血」と、検索してみた。
サイトをいろいろ見てみると、「死亡率が高い」、「後遺症が残る」ということが、どのサイトにも書いてあった。
萌はこれ以上調べるのをやめた。
午後3時だった。
あれから5時間以上経っていた。
萌は、「どうか助かって!!」…と、張り裂けそうな気持ちだった。
ふと、ポケットに手を入れると、英慈の名刺が入っていた。
(困ったことがあれば、連絡して。)
という声が、頭によぎった。
あの優しい声が…頭の中に聞こえた。
萌は思わず……
英慈に電話をかけてみた。
1回、2回、3回…呼び出し音が鳴るが出ない。
萌(そうだよね…。忙しいんだから、出るわけないよね。
出たところで、英慈さん、困らせるだけだから…。
出ないで…。出ないで…。出ないで…。
……………。
お願い!出て…!出てよ!!)
萌は諦めかけた、6回目……
英慈「もしもし…。萌ちゃん?」
萌「!!
あっ…飯島さん…。ご、ごめんなさい。いきなり電話かけちゃって…。」
英慈「どうした?」
萌「………。」
声を聞いたら涙がこぼれてしまったが、泣いているのを悟られないように、萌は必死にとりつくろった。
萌「忙しいのにごめんなさい…。
な、なんでもないです…。
ちょっと、声が聞きたくて…。」
泣きたい声を隠してしゃべるのは難しかった。
英慈はすぐに異変に気づいた。
英慈「何かあったの?」
萌「何もないですよ。
…ほんとに何もないです…。
ただ急に飯島さんの声が聞きたくなっちゃったんです。
どうしてかな…。
ちょっとどうかしてて…。
……飯島さん、優しいから。
声が聞きたくなったんです。」
英慈「…………。」
萌「……じゃあ、失礼します。」
…と、言って切ってしまった。
英慈「ちょ、ちょっと待って!!萌ちゃ…」
萌(飯島さんに言ったところで、どうにもならない。
迷惑かけるだけ。
困らせるだけだから。
とっさに電話なんてかけちゃって、萌のバカ!バカ!!
あの人、心配しちゃうじゃない!きっと…。)
看護師が呼びに来た。
看護師「相原さん、部屋が準備できたので、そちらに移って待機してください。
手術が終わったら、ドクターがそちらに説明に行きますから。」
萌「あと、どれくらいかかるんでしょうか。」
看護師「わかりません。
でも、ドクターが終わったら知らせに来ますから、待っててください。」
萌「はい…。わかりました…。」
萌は病室に移った。
祖父の病室はナースステーションの前の個室だった。
萌(ナースステーションの前の部屋って、いつ異変が起きてもおかしくない重症の患者が入る部屋だって、聞いたことある…。)
ますます絶望的な気持ちになった。
萌は泣き虫だった。
すぐに涙が出る。
涙腺がもろい。
こんな緊急事態では、なおさら、涙が止まらなくなる。
時計の針のコチコチという音が不安をつのらせる。
雨が降り出した。
萌(もうすぐ6時か…。
手術はどうなってるんだろう。
おじいちゃん!!)
萌「ウッウッウッウッ!!ウッウッウッウッ!!ウッウッ…」
萌はベッドに突っ伏して泣いた。
誰もいないから、声を出して泣いた。
遠慮することなく、思い切り泣いた。
だんだん雨が激しくなってきた。
「萌ちゃん…!」
(えっ?!)
萌は声の方に振り向いた。
そこには…
英慈が立っていた。
最後まで読んでいただきありがとうございました!!
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