恋する弁護士たち
恋愛経験が少ない男女専門の結婚相談所・お見合い・婚活サービスは【ピュア婚】
登場人物のイメージ
飯島英慈(主人公 弁護士・市議会議員)
32歳くらいの時の玉木宏…風の人
相原萌(主人公 パラリーガル)
18歳くらいの時の有村架純…風の人
第24話 駆けつけて
振り向くと、そこには…
英慈がいた。
スーツが雨でずぶ濡れだった。
駆けつけてくれたのだ。
萌「英慈さん…!!」
萌は英慈の胸に飛び込んだ。
体が勝手に動いた。
萌は英慈の胸の中で泣きじゃくった。
涙が溢れて溢れて…止まらない。
子どものようにワンワンと泣いた。
我を忘れて泣いた。
英慈は驚いたが…
萌を思い切り抱きしめた。
萌はずっとずっと英慈の胸の中で泣いていた。
英慈はあの場面を思い出した。
七海が3歳の時に、母親が死んで家に来たときのことを思い出していた。
英慈は胸が熱くなった。
萌といると、どこまでも思い出が重なる。
英慈(いったいどういうことなんだ…。)
どうしようもない思いが英慈の胸をかき混ぜた。
どれだけ時が流れたのか…英慈は萌を抱きしめている時間が長く感じた。
英慈は目をつぶっていた。
英慈にとっては幸福な時間だった。
萌はしばらく英慈の胸で泣いたら、だんだん落ち着いてきた。
二人は、病室の椅子に座った。
英慈「電話の声聞いて、変だと思ったんだ。
だから、健太郎に電話して聞いたんだよ。
おじいさん、たいへんなことになったね。」
萌「ごめんなさい。迷惑かけちゃって…。
まさか来てくれるなんて思わなくて…。
気が動転してて、思わず英慈さんに電話かけちゃった…。」
英慈「いいよ。うれしかったよ。
それに、今日はそんなに仕事なかったし。
ちょうど役所でデスクワークしてたから。
で、どういう状態なの?」
萌「まだ手術中です。もう7、8時間経ってる…。」
英慈「そうなんだ…。」
二人は椅子に腰掛けた。
二人は沈黙した。
時計の針の音が耳に入ってくる。
英慈「……。
萌ちゃん、手をつないでいい?」
萌「うん…。」
萌は誰かにすがりつきたかった。
お互いの指をからませた。
つないだ手は、英慈の膝の上に置かれた。
英慈「冷たい手だな…。」
萌「ちょっと寒いです…。」
二人は、黙って手術が終わるのをジッと待った。
萌「…。寒い…。」
英慈「大丈夫?」
萌「英慈さん、お願いがあります。
病院の1階に大きいコンビニが入ってるんです。
そこで、使い捨てカイロと温かい缶コーヒーを買ってきてくれませんか。」
…と言って、萌は財布から1000円札を出して渡した。
萌「寒くて…。体調が悪いみたい…。
手術が終わったらドクターが来ることになってるから、私、この部屋を離れるわけにいかないんです。
すみませんけど…買ってきてくれませんか。」
英慈「いいよ。お安いご用さ。」
萌「カイロはなかったら、買わないでかまわないです…。」
英慈「わかったよ。」
英慈は病室から出ていった。
ちょうど入れ替わりに、執刀した富田医師がやってきた。
富田「相原さん、手術終わりましたよ。
手術は一応成功しました。」
萌「ほ、本当ですか?!よかった……!」
萌は力が抜けた…。
涙がこぼれ落ちた。
萌「せ、先生!ありがとうございます…!ウッウッウッ……。」
富田「説明しますから、一緒に診察室に来てください。」
萌「ウッウッ…、ちょっと待ってください。せ、先生…。
い…一件、連絡入れますから…。」
萌は泣きながら言った。
萌は英慈に電話して無事に手術が終わったこと、医師から説明があるから診察室に行くことを伝えた。
萌は、富田医師から手術の術式や経緯、術後起こりうることの説明を受けた。
今日から24時間が一番のヤマ場であること、それを乗り越えても、向こう2週間は再破裂の危険性があることなどを告げられた。
萌が病室に戻ってくると、英慈が待っていた。
萌は英慈の顔を見ると、泣きそうになった。
でも、グッと泣くのを我慢した。
英慈「手術無事に終わったんだよね。
先生の説明はどうだったの?」
萌は感情を押し殺して言った。
声がうわずっていた。
萌「も、もう大丈夫だって…。
だ、だから、もう飯島さん、帰っていいですよ。
雨はもっとひどくなるみたいだから。」
英慈は見抜いた。
目に涙を溜めて、声が震えていた。
萌がウソを言っていることにすぐに気づいた。
英慈「萌ちゃん。ウソつくなよ。
大丈夫じゃないんだろ。おじいさん。」
萌は、弱っていたので、ウソを突き通すことができなかった。
萌「…うん。
………。
ご…ごめんなさい。…。」
萌はもう我慢できずに泣き崩れた。
萌「おじいちゃん、
今晩がいちばんのヤマ場だって。
たとえ今晩無事に過ごせても、今後2週間は予断を許さないんだって…。」
英慈は絶句した。
萌にかける言葉が見つからなかった。
英慈は萌を抱き寄せた。
英慈は何も言えなかった。
ただただ抱きしめるしかなかった。
英慈「萌ちゃん、落ち着いて。
きっと、大丈夫…。」
萌「うん…。」
萌は今、こうして誰かといることですごく安心できた。
英慈「そろそろ家に帰ろうか。
萌ちゃん。俺も帰らなきゃ。」
萌はとっさに英慈の腕をつかんだ。
萌「…英慈さん。
…帰らないで…。」
萌は、本音がポロリと出てしまった。
萌は、ハッとして手を離した。
英慈「えっ?!」
萌「う、うそです…。冗談です…。」
萌はうつむいた。
二人の間に沈黙が走った。
その時、英慈の携帯の連絡音が鳴った。
英慈は携帯を見た。
ニュースが届いていた。
英慈はニュースを読んだ。
英慈「…!!
ウソだろ?!
宇都宮駅が冠水してて、電車が動かないって…。
復旧のメド立たず…だって!
………。
どうしようかな…。
ビジネスホテルにでも電話してみるか…。」
萌は天の助けだと思った。
萌「あの…。英慈さん…。
よかったら…。
よかったらですけど…、
うちに泊まっていきませんか?」
英慈「えっ…。
……。」
萌は下を向いていた。
萌「こ…心細いんです…。」
英慈「………。
……じゃあ、泊めてくれる?」
萌はうなずいた。
もちろん、今まで萌は自分が一人の時に、簡単に男性を家にあげることはなかった。
今はそれどころではない。
もうそんな自分はどこかに行ってしまった。
それくらい弱っていた。
とにかく、一人になりたくなかった。
萌と英慈は、タクシーで萌の実家に向かった。
最後まで読んでいただきありがとうございました!!
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